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SARTはGMDSSの「ロケーティング」に使用される装置であり、1974年SOLAS条約の1988年改正の第?章でロケーティングは「遭難者の発見」と定義されている。現行のEPlRBの送信電波を方向探知機により方位だけを標定して双眼鏡で捜索するホーミンク方式に比べて、SARTは夜間や濃霧などの視界不良時でも有効なレーダーの映像上に「方位」に加えて「距離」も表示することができ、効率的な遭難者発見の手段を提供する。
1.3.1 SARTの機能
なおSARTの電気特性は、無線設備規則第45条の3の2に規定され、操作性、使用温度範囲、電池の持続性などの性能要件は、船舶救命設備規則第40条で定められている。

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図3−1:SARTの電子装置部分(約80%大)

SARTの電池部分を除く電子装置としては、長さ165?で、重さ約130g、実効送信電力400mW、実効受信感度一50dBm程度のもので、一20℃で4日間以上有効な電池を装備した救命艇用の一例では、円筒状で、直径50?、長さ600?、重さ2?程度になる。
不幸にして海難が発生した場合、自動または遭難者の手動により起動されたSARTは、電力消費の少ない「受信待ち受けモード」になり、捜索側の接近と共にレーダーが送信するパルス波を受信すると自動的に「送信モード」になり、レーダーに対する応答電波を発射するトランスポンダー(Transmitter responder:自動応答器)の動作を行う。
SARTが使用する電波の周波数は、ITUの世界無線通信主管庁会議(WRC−MO8)で定めた国際電気通信条約に付属している国際電気通信規則(RR824Aなど)で割当てられており、船舶/航空機のレーダーと同じ自然空間雑音の少ない9GHz帯(波長3?)のマ

 

 

 

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